夏の葬列

国語の教科書に採用されているせいで、山川方夫の作品の中で圧倒的知名度を誇る「夏の葬列」。
ご多分にもれず、自分もガツンとやられたクチなんですが、中2の当時はちょうど山川作品が書店には無くなっていたタイミングだったようです。他の作品を読む機会には恵まれませんでした。
ようやくにして、集英社文庫から傑作選が出たのが1991年(370円…流石にこれは当時としてもかなり安い部類でした)。
続いて創元で2015年、そして去年から今年にかけて筑摩書房から、例によって例の如く日下三蔵氏の編纂で2冊。
氏の傑作が簡単に読めるようになったのは良い事です。
「箱の中のあなた」の座談会も興味深いですが、今ページを繰り直してみると、集英社文庫の解説や年譜が非常に充実しています。
1973年を最後に作品集が途絶えていた夭折の作家の傑作を、18年ぶりに世に問う編集者の気概を感じます。
370円(しつこい)でも手を抜かない仕事に頭が下がる思いです。

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