障害者が真の力を発揮する、その理由

レビュー3回目。一応最終回。
自分が「そして、よみがえる世界。」を読んだ時に、作者氏の視点が信頼できるな、と感じたのは、障害当事者がある場面である力を発揮できる理由を説明した箇所です(発売前なので、ぼやかした表現、すみません)。
ステロタイプなフィクションでは、視覚を失った分、聴覚がとてつもなく敏感であるとか、その逆とかといった、能力を失った分、別の感覚が研ぎ澄まされる類の「隠れた能力の発露」が描かれがちです。まあ、そういう事も、感覚入力の補完については実際あるでしょう。しかし、フィクションの都合に合わせてそれを極端に表現されると、やはりご都合主義だな、と感じます。21世紀の人間ですからね。
ましてや、そのような特殊な能力が、潜在的に全ての障害者が持ち得るものであるかのように(この子達は、私たちにはない特殊な感覚をもっているに違いない…的な)言うのは、逆にそのままにある姿を低く見ているからではないかと、その浅薄さに呆れることさえあります。現実にまでオカルト的視点を持ち込んではなりません。
しかし、この物語は違います。障害者のある能力が健常者を超える理由が、あるテクノロジーとの組み合わせによって、大変な説得力をもって描写されているのです。
これぞ、まさに想像力の勝利。
このような発想と視点こそが、人類を一歩前に進めるのです。
障害者の生活とこの世界自体をよりよくするのは、テクノロジーの発達であると信じる者にとって、勇気を与える一冊
「そして、よみがえる世界。」
11月16日発売。

明後日ですね。明日には書店に並ぶのかな。

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