毎年恒例の振り返り記事です。
「振り返り記事」を振り返ると、最初に振り返ったのは2021年でした。
この年は学研から「絵で見て」が出版されるというめでたいことがあった一方、
DropTalkがDoorTalkになるという大事件もあり、そのためドロップレット・プロジェクトの行く末を心配する声が多かった年でした。
「ドロプロの中の人」としてはDropTapという大ネタを控えていましたから
「全然大丈夫!」
ということを応援してくださる全国のみなさんに伝えたく、振り返り記事を書いたという経緯でした。
そしたら2022年は国立特別支援教育総合研究所は辞めるわ、県のICT推進リーダーになるわ、DropTapはベストセラーアプリになるわ、GIGAへの無償端末は大成功だわ、DropNewsは始まるわと、次から次に活動が花開きまして、まず間違いなく15年間の総決算的な年になったんですね。
まあー、よく働いた。これ以上働いたら死んじゃうと思ったら、島根と仙台の姐さんたちに唆され、うっかりDropKitの神輿を担ぐことになったのが2023年。DropTapの機能向上、DropNewsの好評、そして三宮さんのおかげで見事年度内にDropKitのリリースと、これまたちょっとどうかしている様な充実ぶり。
本職でも全国初の教育委員会設置の「ICT・ATリソースセンター」を立ち上げるという成果を得られました。
いくら外部の素晴らしい仲間に恵まれたとはいえ、どう考えても実質二人だけでやっている組織が、これ以上仕事をするのは無理、と思ってはいたんですが、2024年もびっくりするぐらい良い活動ができたので、さてさて、以下おつきあいを。
1月
と、言いながら1月から3月はほとんどろくな仕事はしていませんでした。
結果的に冬開催ラストになったマジカルに講師に呼んでもらったり、DropKit関連のオンラインイベントを多数こなしたりとそれなりに充実はしていました。一方本職は大変忙しく、開設したICT・ATリソースセンターの活動を軌道に乗せ、研究のまとめに向けて諸々作業を進める日々でした。そして3月末には、34年間の教員生活に一区切りとなりました。
4月
本職の話が続いて恐縮ですが、佐久市に新たに開校した「さやか星小学校」の初代校長に就任しました。
こちらについてはこのブログで詳細を書くことはしませんでしたが、個人のSNS等では、多くの人から励ましやお祝いの言葉をいただき、恐縮してます。
5月
本職が本当に忙しすぎて、他のことはほとんどできない日々でした。
そんな中、久々にEDIXのSONYさんのブースに登壇しました。
自分で購入からは軽く7年は経ってますが、まさかここに来てMESHの活用について話す日が来るとは思っていませんでした。
6月
初の単著「教室の中の視覚支援」を上梓しました。
執筆依頼をいただいた当初の予定から、軽く1年以上遅れてようやく出版の運びに。
売れっ子作家でもあるまいに、ふざけたレベルでの遅筆ぶりに、懲りずに(いや、これで懲りた可能性はあるか)付き合ってくださった編集様には頭があがりません。
さらにはきついスケジュールの中で素敵なイラストを多数描き下ろしてくれた画伯には、ギャラを払ってないことを今思い出しました。すみません。
さらには、初版時に「こみゅメモ」の引用元を明記せずにご迷惑をおかけしたにも関わらず、こちらのお詫びと2刷からの修正を受け入れてくださっただけでなく、拙著の販売までしてくださっている(株)おめめどう、奥平さんには感謝しかありません。改めてありがとうございます。
おかげさまで初版は早々に売り切れ、現在改訂版も4刷を超え、そこそこ順調に売れております。
7月
毎年のことながら7月、8月はひたすら研修会の日々。
中でも主催した「DropKit教材クリエイターカンファレンス」は、猛暑の時期に長野県佐久市で行ったにも関わらず、日本中から多くの方に参加いただき、それはそれは盛り上がりました。
9月
実際の発売は10月に入ってからですが、9月には
「 」
の告知を行いました。告知のブログ記事はなぜか閲覧数がすごくて、最近でも「人気記事」の中にいます。
11月
アプリに関する最大のニュースはこれですね。
DropTapを大幅に高機能化した、DropTap Proの発売を開始しました。
iPad OSの標準アイトラッキング機能への対応、それ含めた視線入力全般への細かな対応、漢字変換機能までついた文字盤、視線入力導入期に遊びながら基本操作に慣れてしまうためのミニゲームの搭載などなど、AACソフトウェアに求められるであろう機能を備えた素晴らしいアプリになっていると思います。プログラミングを担当してくれている鈴木さんの素晴らしいアイディアが多く組み込まれた、傑作だと思います。
そしてこの前後でDropTapも、GIGAスクール端末への導入が92万本を超えました。
日本を代表するAACアプリであることに異論を挟む人は流石にいないでしょう。
12月
締めくくりの月。
昨年からリアル復活したATACカンファレンスで、今年も講師を務めました。
しかも5セッションも。
AIがメインのテーマであるATACで「AIじゃない方」を担当した結果本数が増えた感はありますが、自分にとっては改めて「自分が話すべきヴィジョン」を意識することができた貴重な時間でした。
そして、今年の締めくくりはもちろん「視覚シンボルで楽々コミュニケーション 完全版」の発売です。
そろそろ3冊目を、という話が出てからどのくらいの時間が流れたか、もうよくわかりませんが、狙ったわけでもなく1と2、2と3のインターバルがそれぞれ7年という絶妙のタイミングになりました。
CD-ROMの時代は終わったので、今回はデータ配布はダウンロードに変わりましたし、以前は「A5サイズ」に異常にこだわっていた代表の嗜好が変わったせいもあって、判型はB5サイズになりました。
そんな大きな変化のあった最新刊ですが、それなりに好評でありがたい限りです。
1、2同様にみなさんに長く愛していただける本になるように願っています。
それにしても、何度も書いていますが、我がドロップレット・プロジェクトの画伯の絵の息の長いことよ。
今でも新作を描いてもらう際に「こういう表現をするのか!」と驚かされることが結構あります。
キャラクターやサイズ、線の太さや色の制限がある中でよくぞここまでわかりやすい表現を、と尊敬するばかり。
そして暮れも押し迫った12月22日には2回目の「DropKit教材クリエイターカンファレンス」を、東京は原宿で開催しました。そこでも、プログラミング担当の三宮さんから、ちょっとした予告があり、来年はいよいよDropKitによる教材開発と共有が進むことを期待させる会になったと思います。
最後に付記すると、DropTap、DropKitは、アプリストアの上位常連状態を1年間キープしました。
DropTap Proは高額なアプリなので、この2本ほどの本数は出ないことは想定済みですが、安定した売り上げを維持しています。
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というわけで、今年も応援してくださるみなさんのおかげで、またまた過去最高を更新する活動内容となりました。特に絵カード集を含む書籍出版3冊、アプリ1本、新規主催イベント2回というのはなかなかにすごい記録と思います。
毎年毎年言っているので、ずっと当ブログを読んでくださっている方は
「もうわかったよ」と苦笑いされるかもしれませんが、今年もまた同じ事を書きます。
「今年の成果は、それ以前に取り組んできたことの結果」です。
昨年同様、今動いている「次の事」はここには一行も書いていません。
来年は早々に「あれだけの活動をしながら、こんな物まで作っていたのか!」と驚いていただけるであろうものが控えています。
来年もまた1年、ドロップレット・プロジェクトの活動にお付き合いいただきますよう、お願いいたします。
それではみなさん、どうぞ良いお年を。