文章力について:その3_久生十蘭、たとえば「春雪」

久生十蘭は青空文庫にもたくさんの作品が収録されているので、読もうと思えばすぐに読める作家です。

自分が大好きな作品に「春雪」という掌編があります。
これはこちらにも収録されていて、
名短編としての評価は定着している言っていいでしょう。
ポプラ社「百年文庫」56「祈」

ここに書かれている編集者の方の言葉は、
十蘭という作家の特長をとてもうまく伝えています。

「洗練された文体で「言葉の魔術師」と称される十蘭は、徹底した改稿を繰り返すことで知られており、同じ『春雪』でも他の版と読み比べると「椿」を「木瓜」に変えていたりして、細部までこだわりの結晶のような文章だなあと驚かされます。まるで書くことそのものが「祈り」のような作家です。」

トップへ戻る