今年もまた、外出できないGWとなってしまった5月前半。
ずっとポーランドのピアニスト、ハニャ・ラニの2ndアルバム「Home」を聴いていました。1stはピアノソロでしたが、2ndはリズム隊やストリングスに加えて、3分の1くらいは本人の歌まで入っている意欲作で、静謐な音楽なのに、妙に元気が出てくるポジティブさに溢れています。
ポーランドについては、音楽どころか近年の社会情勢にも全く詳しくなかったのですが、ライナーノートやインタビューで、若年層の比率が高く(その分その国外流出が問題にもなっているようで)、国が非常に活気に溢れているという記述を読み、ポーランド→ワルシャワの幻想→デビット・ボウイ→ジョイ・ディビジョン→陰鬱、という連想しか浮かばない自分にはとても意外な感じがしました。
勤勉さと誠実さから来る技術力の向上が、経済成長につながったのだという自惚れと現状認識の甘さが、人口増加ボーナス終了後に巨大なツケとなって回ってきた我が国の、まさに戦前の轍を踏むが如き惨状の中にいると、皮肉にもコロナ禍で一層多義的なタイトルに感じられるようになってしまった「Home」は、それでもやるべき事をああでもない、こうでもないとただひたすらやり続けるしかない日々に刻まれる、ひっかき傷のようです。
というか僕にとって優れた音楽とはそういうものなんですけどね。