38年目にして、文庫本から単行本へ

こんな事って本当に珍しいですよね。

ここ数年、SF小説の傑作・大作がジャンルファンを超えて読まれていて、嬉しい限り。
しかし、それらの中で例えば「三体」や「プロジェクト・ヘイル・メアリー」などを読んだ時に、少しだけ感じるのが、異星人の思考や言語があまりにもあっけなく相互理解可能になる事への違和感。

「ソラリス」のような徹底的に理解不能な、でも確実に人類以上の知性をもつ存在を描く作品に比べると、その能天気ぶりが気になるところ。それこそスタニスワフ・レムだったら、そんな俗っぽさを徹底的に馬鹿にしたことでしょう。

神林長平の「戦闘妖精・雪風」シリーズは、そんな「理解不能な地球外知性体」と物理的な戦闘を行わなくてはならなくなった兵士たちの物語。敵の行動原理の理解不能っぷりは、当時の日本SFの中でもずば抜けてました。特にシリーズ初期作はとんでもない異次元レベルです。
中学生でこんなもん読んじゃったので、人生狂う狂う。

写真右は1984年に出た最初の文庫版。
その後続編が出て、それに合わせて2002年に出た改訂版が真ん中。
その後続編がさらに2冊。不動の人気シリーズです。

そして今年。
ついに最初は文庫スタートだった「戦闘妖精・雪風」がハードカバー単行本になりました。
1979年にスタートした連作、中心的なアイディアや小ネタをいろいろな作品にパクられていますが、今読んでも全く古びることのない、とんでもない傑作です。

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