生命は「対話」を求めている

「法治の獣」は長野に戻った4月に買った。
正直「買おうかどうしようか」と迷ったが、表題作の
いわゆる知性を持たないのに、あたかも罪と罰の概念を理解しているように振る舞う獣が、なぜそのように振る舞えるのか、という魅力的な設定には抗えず買った。
昨年の年間ベストSFにも選ばれるほどの注目作となるとはその時は思いもしなかった。

正直、これをすんなり読めるのは、ある程度はSFを読み慣れている人ではあろうとは、思う。
だが、表題作ももちろん素晴らしいが、最終作
「方舟は荒野を渡る」
は紛れもない大傑作なので、本当に読んで欲しい。
小松左京の命題的な
「人類が宇宙に何を与えられるか」
という問いに対して主人公たちが出した結論は、感動的だ。
(ネタバレにはならないと思うので書くが)
こんな結論を出せるSFが日本から登場したことは誇らしい。
「簡単なことだ。わたしたちは宇宙に交流を与えられる」

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